
多様な働き方をどのように実現させていくのか──
副業・兼業の流れが進み、オンライン化が加速し、地域への移住や二拠点・多拠点生活などの動きも生まれています。人々の働き方や暮らし方が変化している中、あなただったらどのように自分らしい働き方を掴みとりますか。
本記事では、「地域イノベーター留学2020オンライン」という社会人向けのオンラインプログラムに参加し、地域企業の経営課題に取り組んだ「外部人材」の方を取材。何を学び、どのようにご自身のキャリアを切り拓こうとしているのでしょうか。
「外のことを知り、本業の方にも説得力を持たせたい」
今回お話をお伺いしたのは、「地域イノベーター留学2020オンライン」(以下、地域イノベーター留学)を通じて、高知県四万十町の団体のプロジェクトにコミットした横道さん。
本業の仕事をしながら、なぜ地域イノベーター留学に参加したのでしょうか。ご自身は今後どのようなキャリアを歩んでいきたいのでしょうか。取材を通じて、様々なことが見えてきました。
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──地域イノベーター留学を知ったきっかけや参加動機についてお聞かせください。
横道 : きっかけは「地域イノベーター留学を運営しているETIC.(エティック)が配信しているメルマガ」でした。以前から登録していて、ある時に届いたメルマガで地域イノベーター留学が紹介されていて、すぐにビビッときました。
本業では、転職支援のアドバイザー・法人営業をしています。そもそもとして転職経験がないのにも関わらずアドバイザーをしているということで、たとえ転職じゃなかったとしても、本業とは別の、外部の組織・団体に関わることを経験しておきたいと考えていました。
「正社員だけではない様々な働き方」「プロジェクト型の人材活用」を営業として提案している立場にあるので、自身が複業やプロボノという形で携われる機会を模索していました。
「外のことを知ることで、本業の方にも説得力を持たせたい」と思っていた時、ちょうどいいタイミングで、地域イノベーター留学のことを知ることができ、すぐに申し込みました。
「一般社団法人いなかパイプ」のプロジェクト情報が目に飛び込んできたというのも大きな決め手でした。
──「一般社団法人いなかパイプ」のプロジェクトが、横道さんにとって印象的だったんですね。もう少し詳しくお話をお願いします。
横道 : 人材業界には様々なカテゴリーがあります。たとえば人材紹介やリストラにあった方々の再就職支援、人材派遣や求人媒体などです。
私も8年間ほど人材業界にいますが、実は人材派遣だけ未経験の領域でした。いなかパイプは労働者派遣事業の許可を取得し、田舎の事業者と都会の人材を繋いでいて、そのビジネスモデルが魅力的だと感じました。
また、東京生まれ・東京育ちで、東京に31年間住んでいた自分が、2019年に佐賀県唐津市に移住し、ちょうど1年ぐらいのタイミングで、「都会に住んでいた自分の立場」と「移住者として、地域に1年以上住んでいる自分の立場」と、その両方から感じていることをアウトプットできそうとも感じました。
「ビジネスモデルへの純粋な興味」と「都会生まれ都会育ちの自分と地方移住者としての自分と、その両方の自分が貢献できそうなプロジェクトであったこと」という2点が、エントリーの決め手でしたね。
印象的だったのは「仲間の存在」、そして「代表の人柄」──
──いなかパイプのプロジェクトに参加して、印象的だったことをお聞かせください。
横道 : 大きく2つあります。1つは「仲間の存在」です。
というのも私の他にもう1人、いなかパイプのプロジェクト参加者がいました。プロジェクトが始まる最初のタイミングで初めてオンライン上でお会いしました。ふたりとも「同い年」で「東京出身」で現在の拠点は「九州」でと、多くの共通点があり一気に打ち解けました。
彼は打ち合わせの進行が上手で、議論が毎回活性化されていました。褒めたり持ち上げるのも上手で、つい私も調子に乗ってしまうこともあったのですが(笑)、常にお互いに褒め合い、いい関係性を築きながら、プロジェクトを進めることができたと思っています。
ひとりでプロジェクトに臨むのではなく、一緒に挑戦する仲間の存在が私にとって重要でした。
──プロジェクトは約3か月半ということで、限られた期間の中で成果を出すためにも、切磋琢磨できる仲間の存在は大きいですね。その重要性がひしひしと伝わってきました。さてもう1つの印象的だったこともお聞かせください。
横道 : 「いなかパイプの代表・佐々倉玲於(レオ)さんの人柄」です。
一番印象的だったのは、「自分のやりたいことを、いなかパイプを使って実現していいよ」というレオさんの言葉でした。
組織や団体の代表のこういう考え方は、まさにこれからの時代、「正社員だけじゃない、様々な雇用の形を受け入れていくためにも、大切な根本的な考え方のひとつ」だと思いました。
レオさんの心の広さが、本当に印象的でした。
──おっしゃる通り、働き方が今後ますます多様になっていく中で、とても大切な考え方ですね。多様という意味でいうと、横道さんは本業と並行して、今回のプロジェクトにチャレンジされていたわけですが、どのようにコミットしていたのですか?
横道 : 平日は本業で、土日の時間をこのプロジェクトに充てました。子どもが2人いる4人家族なのですが、毎回しっかりと家族の了承を得ながらプロジェクトに取り組んでいました。
プロジェクト期間中は、レオさんとの打ち合わせが隔週で実施され、それとは別に、仲間との打ち合わせもありました。準備時間として「朝の時間」も有効活用していました。
「自分の今後の人生の選択肢を広げる、かなり大きな意味をもたらすであろうプロジェクト」と捉えていたので、参加し始めた時からずっと、モチベーションが高い状態で最後まで進めることができました。

中央に写っているのが、いなかパイプの代表・佐々倉玲於(レオ)さん。
100点満点の大満足!その理由とは──
──いなかパイプのプロジェクトに参加して、どのようなことを学びましたか。
横道 : プロジェクトが始まったばかりの頃、レオさんとの打ち合わせで、「本業の仕事といなかパイプの仕事とを、どうにかドッキングできないか」と提案していました。
プロジェクトの最後には最終プレゼンの機会が用意されていたのですが、そこに辿り着くまでに私が学んだことは「提案を急いではいけない」ということでした。
アイデアや具体的な提案内容は順調に思い浮かんでいたのですが、そもそもとして私自身が、「いなかパイプの現状やレオさんが組織を今後どうしていきたいのかについて、もっと知らないといけない」ということがわかりました。
「急いではいけない」というのは、思い浮かんだアイデアが「いなかパイプの現状に相応しいかどうか」というのを見極められていないまま、急いで提案してはいけないという意味です。始まったばかりの頃は「現職が抱えるビジネス上の課題といなかパイプの事業をドッキングできないか」と少々前のめり過ぎましたね(笑)
──参加してみての感想もお伺いしてよろしいでしょうか。
横道 : 「100点満点の大満足」でした。
今回の関係性は、プロジェクト期間──つまり、約3か月半の間だけで終わらせたくないと、勝手ながら当初から思っていました。
実際にプロジェクト終了後も、次に繋がるお話を現在進行形でできています。具体的には、「いなかパイプの事業に興味を持ってくれるコミュニティを唐津に作りたい」ということです。「移住者として唐津を盛り上げたい」という想いも持っていて、いなかパイプと出会ったことで、さらに自身が人生を通して実現させたいことが前進しそうです。
そうした意味では、当初想定していた目的がしっかり達成できて、「100点満点の大満足」です。
──ここまでお話をお伺いする中で、とても積極的に活動されている横道さんの姿が印象的でした。最後に、横道さんをここまで突き動かす「原動力」についてお聞かせください。
横道 : 家族が関係しているかもしれないのですが、「家族で世界中をワーケーションしたい」というのが将来の夢のひとつです。
地域イノベーター留学で出会ったいなかパイプの事業を、まずは自分が住む唐津のエリアで広めていくことができれば、日本全国各地のエリアにも広げられる可能性があるのではと考えています。
そうした時に、唐津であらかじめ広められていれば、その経験を活かして、他のエリアでも「自分ができること」があるのではないかと思います。
そうすることで将来的には、もしかしたら日本中の田舎の課題解決に自分も携わりながら、家族と一緒にその地に訪問できるかもしれません。また、子どもの教育的観点からも学校で机を並べて勉強するだけではないフィールドワーク(都会では味わえない農業・漁業・林業等々いなかならではの体験)を、小さいうちから子どもたちにも体験させてあげたいとも考えています。
ゆくゆくは、レオさんが考える「いなかパイプ全国展開」にも挑戦したいですし、「日本のいなか」と「世界のいなか」をつなげる仕組みも構築したいと考えています。
原動力は、「将来の夢」であり「家族の存在」ですね。
──本日はありがとうございました!引き続き、心から応援しております!
【案内】地域イノベーター留学、今年も募集中!【1次締切 : 2021年7月20日 / 2次締切 : 2021年7月31日】
横道さんのお話はいかがでしたか。
地域イノベーター留学というプログラムを上手に活用しながら、ご自身のキャリアを力強く切り拓こうとされている姿が印象的でした。働き方と暮らし方を分断させず、リンクさせながら相乗効果を生み出していらっしゃるようにも感じました。
読者の方々にとっても、何か気づきがあればと心から願っています。
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今回は外部人材側の声をお伝えしましたが、地域コーディネーターと受入企業の声もお届けしたいと考え、お話を伺いました。こちらもぜひお楽しみください。
地方の小さい企業にこそ「外部の視点」が必要。外部人材のアイデアを経営に活かす「地域イノベーター留学」とは──
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最後までお読みくださりありがとうございました。
※本記事の掲載情報は、2021年7月現在のものです。
※2次締切を追記しました《2021年7月20日更新》

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