
今回お届けするのは、2021年1月に開催された「副業・兼業を活用したい企業向けのセミナー(第2回)」の開催レポートです。昨年度の「横浜市イノベーション人材交流促進事業」で副業・兼業人材を募集した株式会社plan-Aの代表取締役・相澤毅さんが登壇されました。
「ベンチャー企業のスタートアップ期にも副業人材を!社長の右腕としてイノベーションを加速する」というタイトルで、「副業人材を導入しようと思った経緯」や「導入による事業・組織の変化」などをお話いただきました。これから副業・兼業人材を募集したい経営者のみなさん必見です。
セミナーを動画でご覧になりたい方は、アーカイブにて。
副業人材を導入しようと思った経緯
「関わるすべての人の人生に、良質な化学反応を起こしていきたい。」をタグラインとして掲げ、企業や自治体・団体と、業界や業種の垣根を越え領域横断的にイノベーションを創出する事業を推進している株式会社plan-A。
事業内容は「① まちづくり」「② CROSS OVER」「③ CMとPJM(コミュニティマネジメント&プロジェクトマネージメント)」の3本の柱で構成されています。詳細は株式会社plan-AのWEBをご覧ください。
その事業内容の特殊さから「従業員を雇用する」というスタイルはあまり望ましくないと相澤さんは以前から感じていたそうで、今でも一人会社。しかし、案件の領域は多岐に渡るため、それらをカバーできるチーム自体は必要とされる中、「ネットワーク型のパートナー」という形態が良いのではと思い至り、その候補として「副業人材に可能性があるのではないか」と副業・兼業人材の導入を決めたそうです。

相澤さんの自己紹介スライド
誕生したのはオンラインコミュニティ!採用不採用ではない副業人材との関わり方とは?
セミナーで特徴的だったのが、選考の中で誕生した「副業兼業者オンラインコミュニティ」。株式会社plan-Aでは案件の領域は多岐に渡るため、あえて「領域を狭めず幅の広さを隠さないように」副業人材を募集したそうです。
結果として、募集期間3週間で330名のエントリーが!
あるピンポイントな分野で株式会社plan-Aと一緒に働きたいというより、「様々な分野に興味・関心があり、その中で自分の力を試せるところがあるかもしれない」という応募者がほとんどだったようです。その時に相澤さんが感じたのは、「これはもしかしたら、採用・不採用の話ではなくなってきているかもしれない」ということ。
そして「仕事を都度発生させながら、できればこの方々と継続的な関係を作りつつ、ビジネスも継続的に発生させていく状況を生み出した方が、色々な人がWin-Winになるのでは?」という発想により出来上がったのが、副業兼業者オンラインコミュニティ「IXII PORT(イクシィポート)」(*)。
(*) イクシィポートのプレスリリース
選考で最終的に残った76名がこのイクシィポートに参画し、この中で株式会社plan-Aから仕事の発注があったり、その逆も発生しているようです。また横の連携も生まれているとのことで今後の展開も楽しみです。
副業人材導入により生まれた成果、事業・組織の変化、今後の可能性──
■事業の成果
IXII PORT(イクシィポート)内で挙手制で声をかけたところ、2名の副業人材の方が手を挙げ、「ユニットを組んでやりたい」と逆提案された事例があるそうです。
これはとあるプロジェクトの広報PR支援を行なった際の出来事で、相澤さん曰く、「報酬はもちろんのこと、副業人材お二人にとっても『新たな視点』が得られる結果となったでしょうし、当社としても『新たな手法の可能性』を得ることができました」とのことでした。
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■事業・組織の変化
「同時進行で複数のプロジェクトを進めていく時に、副業人材の方々がジョインしてくれたことで、『対応できるキャパシティが増幅した』『仕事の間口が拡大した』『コミュニティが誕生したことで新たな可能性が見えるようになった』といった変化が起きている」と相澤さんは強く感じているようです。
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■今後の可能性
印象的だったのは、
企業側は頭を柔らかくする必要があり、副業人材側は「自分は何ができるのか」をしっかり表せることが大切になるでしょう。
最後に、今後求められる人材要件に「領域横断できる能力」が出てくると思いますが、副業はその能力を身につけることができる貴重な機会であると考えます。
という相澤さんの締めの言葉。
様々なことが急激に変化し・対応していかなければいけないこの世の中で、副業人材導入を実際に経験された相澤さんだからこその、示唆に富むメッセージかと思います。詳細は以下スライドをご覧ください。

相澤さんの締めのメッセージ
働き方が多様化する中、組織や領域を越えて、新しいイノベーションが生まれる──
以上、開催レポートでした。
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働き方が多様化する中、組織や領域を越えて、新しいイノベーションが生まれる──
その兆しが横浜市にあります。
同市は、2019年1月に「イノベーション都市・横浜」を宣言。その理念の下、副業・兼業を活用した人材交流によりスキルを持った人材が関わりあうことで、自社の経営課題の解決や組織の垣根を超えた人材の交流・成長機会の獲得を支援するための事業──「横浜市イノベーション人材交流促進事業」を、昨年度に続き、2020年度もスタート。
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今年度は、NPO法人ETIC.(エティック)が委託を受け、実施します。副業・兼業に関する相談窓口(企業・人材向け)がWEBに設置されています。また今まで実施されたセミナーのアーカイブも以下からご覧いただけます。

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※本記事の掲載情報は、2021年1月現在のものです。
【連載・第1回】
160年前の開港から、物語はずっと続いている―横浜から新たなイノベーションを
【連載・第2回】
副業・兼業人材を受け入れ「今までにない発想」が社内に【株式会社テレビ神奈川の事例紹介】
【連載・第3回】
新規事業の立ち上げは副業人材と。中小企業にとって副業の受け入れはチャンス。【株式会社太陽住建の事例紹介】
【連載・第4回】
【連載・第5回】
本記事
【連載・第6回】
「プロに徹する」「自分の価値観を再認識できる」―副業経験者のリアルな声
【連載・第7回(最終回)】

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