2016年5月30日。新しい社会実験の創設メンバーを募る募集説明会が都内で開催されました。「拡大・成長」で突き進んできたこれまでの資本主義社会の延長ではなく、「人間の創造力こそ本当の資本である」という考え方にたち、ポスト資本主義の可能性を実践・実験する社会実験プロジェクトです。 
“Next Commons Lab(ネクストコモンズラボ)”とは “Next Commons Lab”は、さまざまな領域で活動するメンバーが集まり、
プロジェクトを通じて地域社会と交わりながら、
ポスト資本主義社会を具現化する議論と実行の場です。
今を生きる私たちが、理想とする未来を思い描き、
自ら考え、手足を動かし、社会そのものを変えていく。
自由な精神と、良質なカオスの中で未来づくりがはじまります。(Next Commons Labウェブサイトより)
今回は5月30日に行われた募集説明会の内容を基に、Next Commons Labの取り組みについてご紹介します。6月17日(金)には名古屋にて説明会を開催予定です。ご関心ある方はウェブサイトをご覧ください。
『本当の資本とは、貨幣ではなく人間の創造力である』
Next Commons Labのコンセプトは、『本当の資本とは、貨幣ではなく人間の創造力である』というもの。「ポスト資本主義」を「今を生きる人たち」の手で具現化する取り組み、と説明されていますが、なぜ、今この取り組みをスタートしたのでしょうか。
主催者である林篤志氏がお話しされた内容をご紹介します。 
会場でお話しされる林氏。会場には100名弱の参加者が集まった。

Next Commons Labのコンセプト

Familyの領域においてパートナーとして伴走する渡辺敦子氏。遠野に移住した後に出産し、地域での出産の課題等を実感した。
仕組みを支える様々な仕掛け。ベーシック・インカムとパートナーシップ制度
本取り組みには特筆すべき2つの仕掛けが施されています。そのうち、プログラムリリース当初から大変な注目を集めたのが「ベーシック・インカム」制度。 ベーシック・インカムとは、basic(基本的)income(収入)、つまり最低所得保障制度の一種です。性別・年齢等に関わらず全ての国民に対して、生きるために必要な最低限の金額を一律で支給する制度のことを指します。
最近では、このベーシック・インカム導入に対してスイスが国民投票を行ったことが話題となりました。 結果としてスイスでは「否決」されましたが、ベーシック・インカムの効果として期待されている「福祉・社会保障」面と「生産性の向上」面の効果において、本取り組みでは後者の効果測定を行うことが可能となりそうです。
また、パートナーシップ制度にも専門家・職人・技術者等、その道のプロフェッショナルが揃い、サポートしながら進めるとのことです。

Communityの領域のパートナーである遠野まごころネット顧問 多田一彦氏。 外から一方的に変えていくのではなく、地元との連携が組まれている。
“ポスト資本主義”を実験する-社会実験の先にある世界

説明会後にプロジェクトごとに分科会が実施された。パートナーから詳細を聞く参加者たち。
地域活性ではなく、次の日本の形を”実験”する
本取り組みにおいて最も注目すべき点は、「地域活性・まちづくりのプロジェクトではない」という点です。 これまで多くの地域は、「現在のまちの形を維持する」ために移住者を受け入れ、創業を支援してきました。しかし、日本全体の人口が減少している中で「他市町村からの人の奪い合い」にはいずれ限界が生まれます。
三大都市圏への人口の一極集中も今は大きな社会問題となっていますが、出生率の低さから考えると三大都市圏ですら「自地域の人口を確保するのがやっと」という状態が来るかもしれません。
「地域活性」という枠組みではなく「日本全体」の問題として、新たな社会の形を考える時期にきています。本取り組みはその先陣を切ってスタートしたものであり、この取り組みで実験・実践されたものが遠野から他地域に広がり、それが将来の日本のスタンダードになるかもしれません。
「新たな社会の形を模索し、自分の手で創り上げていく」。そんな取り組みに参画したい方は、ぜひ「創設メンバー」として挑戦してみてはいかがでしょうか。
詳細はこちらから。 Next Commons Lab
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