企業のCSR担当者から「そもそも”SDGs(エス・ディー・ジーズ)”っていったい何なんですかね」って聞かれたことありませんか。
筆者は、あります。
世の中の認識は、まだそのぐらい。言葉だけが先行していて、まだまだ理解は広まっていないのが現実だとおもいます。みなさんは誰にでもわかるように説明ができますか……? 今「はっ!」とされた方、もしかしたらこの本が役立つかもしれません。

~コレクティブな協働なら解決できる! SDGs時代の複雑な社会問題~』
佐藤真久、 広石拓司(著)/みくに出版
全192ページに書かれているのは、こどもの貧困や教育の格差、環境破壊、地方の衰退など、複数の要因が絡み合って生じている「複雑な社会問題」を解決していく方法。
日々、課題解決のために活動されている社会起業家の皆さんにとっては、もはや当たり前かもしれないですが、まずはこの「社会問題の原因は複雑に絡み合っている」ということが理解されないと、なぜSDGsがこれだけ注目されているのか、コレクティブな協働とはどういうことなのか、説明ができないですよね。
わたしはこの本の書き出し(前文)が、ほんとに秀逸だとおもっています。
今回、特別に、著者の佐藤真久さんにおゆるしをいただき、前文の一部をご紹介させていただきます。「はじめに」を読むと、この本がいかにわかりやすく書かれているかが伝わるとおもいます。
スタッフ研修に使うもよし、ステークホルダーの皆さんと読書会をするもよし。わたしは、前述の担当者にプレゼントしてみようかなとおもいます。クチで説明するより100倍正しく、早く伝わる気がします!
これからプロジェクトを始めようと考えている人にも、すでに取り組んでいる人にも、そして壁にぶつかり悩んでいる人にも、ぜひ手にとっていただきたい1冊です。
以下、本書《はじめに》より一部をご紹介します。
このおとぎ話で、勇者が村の人たちを助けることができたのは、なぜでしょうか?
悪魔に挑む勇気があったから? 悪魔に勝てるだけ強かったから?
それもありますが、それ以上に大切なことは、「問題の原因が悪魔だ」と明確で、悪魔を倒せば問題が解決できるとわかっていたからでしょう。
私たちは問題に出会った時に、何が原因なのか、何をやっつければ変わるのか、そのように考えてしまいがちです。
今、社会で起きているたくさんの問題、例えば子育てストレス、介護負担、貧困、地域活性化、気候変動、国際紛争などの問題についても、“悪魔探し”が行われがちです。「資本主義が悪い」という人もいれば、「大企業や大富豪が悪い」「政治家が悪い」という人もいます。社会問題までいかずとも、地域や組織の問題に対して「あのリーダーが悪い」「若者がやる気がない」といった悪者探しをしてしまいがちです。
しかし、一生懸命に悪魔、悪者を探したとしても、現代の問題は、何が悪いのか、何が原因なのか、一つに定められず、よくわからないのです。資本主義は多くの問題を起こす原因となっていますが、今の豊かさや便利な生活を生み出してきたものでもあります。もし、特定の富豪や政治家が悪いとして、その人をやっつけたとしても、別の富豪や政治家が同じような問題を起こしてしまうかもしれません。子育てについても保育園が足りないことが問題となりますが、保育園さえあれば子育てストレスがなくなるわけではありません。夫婦の協力やそれぞれの会社での働き方、家族や地域のつながり方など、多くの要素が必要です。
このように、これまで数多くの人たちの努力があったにも関わらず、未だ解決できず、残されてしまっている問題は、誰か特定の悪い人や一つの原因が起こしていることではなく、一人の人や一つの原因を取り除いても解決や改善につなげることができないものなのです。それらの問題には複数の要素が関係しています。しかも面倒なのは、例えば「資本主義」がそうであるように、一つひとつの要素には良い面も悪い面もあり、要素が相互に影響しあう状況によって、悪い面の影響が強く出てしまうのです。
このように、何か一つの原因を取り除く対応では解決できず、複数の要因が相互に影響しあって生じる問題は、“複雑な課題”と呼ばれています。私たちは難しい問題に出会うと、何かを悪者にする、もしくは問題を分解して要素にするなど“単純化して”考え、「悪者や一番の原因をなくす」というシンプルな問題解決を考えてしまいがちです。しかし、“複雑な問題”は、複数の要因の相互作用の結果として生じているため、単純化やシンプルなアプローチでは解決できません。そのような問題を解決するには、複数の解決策が相互作用しながら問題に対応できる状況をつくる、言い換えるなら“問題に対応できる社会システム”を生み出す必要があるのです。
(引用おわり)
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~コレクティブな協働なら解決できる! SDGs時代の複雑な社会問題~』

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